Archive for 4月, 2007

Date: 4月 16th, 2007
Cate: Atushi Sugita
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紡ぎ出される

杉田敦

先日の『写真を巡る討議』ではお世話になりました。竹内さんの提出したアーカイヴという視点、捉え方は三者三様だったような気もしますが、確定したものに ついて語り合うのではなく、いまだ形の定まらないものの処し方を模索するような討議は、スリリングな体験でとても刺激的でした。前回の critica=critico のエントリー、求心的、遠心的という視点もとてもユニーク、発展させるべきものであったにもかかわらず、放置したまま時間ばかりが過ぎてしまいました。申 し訳ありません。ボンヤリとした印象なのですが、求心的、遠心的という視点がそのまま利用できるかどうかは定かではありませんが、ひょっとすると、アーカ イヴという言い方の中にも、微妙な質的な差異があるのかもしれません。いわゆる、アーカイヴ・ビルダーまでを視野に入れた、欧米でのアーカイヴへの注目 と、竹内さんや国立近代美術館の増田怜さんが指摘されるような、あくまで個人的な目的で集積されてきたものに対する、アーカイヴ的なアプローチとは、微妙 に異なる面もあるのかもしれません。もちろん、共通点の方が勝るとしても、同時に、その差に対しても注意しておく必要があるのかもしれません。その結果、 求心的、遠心的という視点とも呼応するようになるとおもしろいですね。何かが紡ぎ出されることもあるかもしれません。

ところで、今月末には、年に一度、little red decode という企画展をやらせてもらっている、Space Kobo & Tomo という銀座のスペースで、アーティストの吉原悠博さんの実家である、写真館の土蔵に眠っていた乾板とアルバムをベースとして編集した映像作品の展示が始ま ります。また、今秋には、art & river bank で、若手写真家で2005年度日本写真家協会新人賞受賞の森澤ケンさんが、やはり実家の写真館に遺された、祖父の写真を再プリントした作品の展示が予定さ れています。これら、アーカイヴ性がわかりやすく前面に出た展示は、きっとまた討議した内容に、疑義や深みを与えてくれることになるはずです。ぜひまた、 こうした体験を踏まえて、お話させてください。

2007.04.16